AIが「自然界に存在しないウイルス」のゲノムを設計 #
スタンフォード大学などの研究チームが、DNA配列を学習した生成AIモデル「Evo」を使い、細菌に感染するウイルス「バクテリオファージ」の全ゲノムをゼロから設計したと発表した。対象は大腸菌に感染するΦX174(約5400塩基対、11遺伝子)。AIが出力した302種の候補のうち285種を実際に合成し、16種が生物として機能した。9種はAI設計のまま、7種は細菌内で追加の変異を獲得して機能を獲得したという。
さらに、この AI 設計ファージを複数混ぜたカクテルは、天然のファージには耐性を持つ大腸菌株にも感染・抑制できることを確認した。抗生物質が効かない耐性菌への新たな治療手段として期待される一方、研究チーム自身が「ゲノム合成の審査体制」の必要性に言及している点は見逃せない。
セキュリティ屋が見るべき論点 #
今回はあくまで細菌に感染するファージであり人体への脅威ではない。だが「生成AIが機能する生物ゲノムを設計できる」という事実そのものが二重用途(デュアルユース)リスクの証明でもある。DNA合成受託業者側のスクリーニング体制が、AIの設計能力の伸びに追いついていない可能性が指摘されている。折しもAnthropicも「Fable 5」の生物学分野の制限を緩和し誤検知フォールバックを85%削減したと発表したばかりで、AIの生物学領域での実用性向上と、合成規制・審査の強化という綱引きが今後の焦点になりそうだ。
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