Google は 2026 年中の Chrome アップデートで、長らく延期されていた Manifest V2 拡張機能の完全停止に踏み切る。これにより、世界で最も使われている広告ブロッカー uBlock Origin をはじめ、AdGuard などの主要拡張が Chrome 上で従来どおりに動作しなくなる見通しだ。Manifest V3 (MV3) への移行は 2019 年から告知されていたが、何度も延期されてきた末の「最終通告」となる。
webRequest の終わりが意味すること #
技術的な核心は、ネットワーク制御 API の差し替えだ。MV2 では拡張が webRequest API でリクエストを動的に検査・ブロックできた。MV3 ではこれが declarativeNetRequest (DNR) に置き換えられ、拡張は事前に定義したルールを Chrome 本体に登録する形になる。
これが何を生むか。DNR では静的ルール数に上限が課され (1 拡張あたり数万件規模)、フィルタリストのリアルタイム更新ができない。EasyList などのコミュニティが新しい広告・トラッカードメインを 1 時間で配信しても、Chrome 上では拡張本体のアップデート配信を待つことになる。マルバタイジングを仕掛ける攻撃者は、この時間差を悪用できる。
ハッカー視点で何が抜け落ちるのか #
広告ブロッカーは単なる「広告排除ツール」ではなく、マルバタイジング (悪意ある広告) や暗号通貨マイニングの埋め込み、ブラウザフィンガープリント、トラッキングピクセルへの最後のラインでもある。uBlock Origin 作者の gorhill 氏は MV3 への完全移植を拒否し、機能を絞った uBlock Origin Lite のみを公開してきた。「DNR では本物のブロッカーは作れない」というのが彼の主張だ。
Google が広告事業を抱える企業である以上、ブロッカーを弱体化させる方針への疑念は消えない。
残された選択肢 #
| 選択肢 | 特徴 | uBO 相当の動作 |
|---|---|---|
| Firefox | MV3 を採用しつつ webRequest のブロッキング機能を維持 | ○ |
| Brave / Vivaldi | ブラウザ本体に広告ブロックを内蔵 | ○ |
| DNS フィルタ | Pi-hole / NextDNS / AdGuard DNS | 一部 |
| uBO Lite | 静的ルールのみ。MV3 ネイティブ | 一部 |
最も堅い防御線はもはやブラウザの外、ネットワーク側にある。Chrome に残るユーザは、自分が「何を見せられているか」をもう自分で決められない時代に入る。
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