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VULNERABILITY / 脆弱性 重要度 高 2026-08-04

COLDCARDに5年潜伏の乱数欠陥、3波の攻撃で140億円分のBTC流出

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ビットコイン向けハードウェアウォレット「COLDCARD」のファームウェアに存在した脆弱性が悪用され、2026年7月30日以降の3波にわたる攻撃で合計推定8,860万ドル(約140億円)相当のビットコインが盗み出された。第1波だけを見ても、攻撃発生からわずか41分間で1,196個のアドレスから1,082.65BTC(約70.2百万ドル)が根こそぎ流出している。

原因はシード(秘密鍵の元になる乱数)生成機構の欠陥だ。対象はファームウェアv4.0.0からv5.0.3。「オフラインで鍵を生成するから安全」という売り文句も、生成プロセス自体に予測可能性が紛れ込んでいれば意味をなさない。攻撃側は全送金で「1仮想バイトあたり30サトシ」の固定手数料を適用しお釣りを作らない自動化ツールを用い、対象アドレスを機械的に刈り取った。

COLDCARDのRNG欠陥から資金流出までの仕組みを示す図解
ハードウェアRNGを迂回した実装ミスがオフライン総当たりを可能にした仕組み
1. 脆弱な乱数生成
v4.0.0〜v5.0.3でシードが本来のハードウェアRNGでなく予測可能な経路で生成されていた。
2. オフライン総当たり
デバイスに触れず、候補シードを計算しアドレスを公開データと突き合わせて残高ありだけを特定。
3. 自動化された一斉出金
固定手数料・お釣りなしの送金を機械的に実行し、対象アドレスを完全に枯渇させた。

「公表の30時間前」という不穏な符合 #

もっとも不気味なのは、攻撃がCoinkiteの脆弱性公表の30時間前に行われていた点だ。攻撃者は公表前にこの欠陥を把握しており、独自解析か情報漏えいかは不明だが、ユーザー側に「パッチを待つ」猶予は無かった。Coinkiteは確認後に出荷を即停止して在庫を全廃棄、対象ユーザーへ直接通知した上で7月31日に緊急ファームウェアを配布したが、このパッチは新規シード生成を正規のRNGに戻すだけで、既に生成済みの脆弱なシードは修復されない。

ハッカー視点での論点

ハードウェアウォレットの安全性は「鍵がデバイス外に出ない」ことだけでなく「鍵そのものが真に予測不能である」ことに依存する。RNGの実装ミスはDebian OpenSSLの乱数事件など過去にも繰り返し重大インシデントを引き起こしてきた古典的かつ致命的な脆弱性クラスだ。オフライン・オープンソース・監査済みという肩書きがあっても、RNGの実装検証まで踏み込まなければ「安全」とは言い切れない。

対象ファームウェアのユーザーは新しいシードへの再初期化を急ぐべきだ。ウォレット選定は暗号アルゴリズムだけでなく乱数生成の実装まで見る必要がある——今回の事件はその教訓を140億円で突きつけた。

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