南海電気鉄道と日立製作所が、量子コンピュータの計算原理を室温の半導体上で疑似再現する独自技術「CMOSアニーリング」を使い、乗務員と車両の運用計画を自動作成するシステムの構築を始めた。2025年度に南海線で試験適用したところ、従来数カ月かかっていた乗務員運用計画の作成が約1週間に、約20日を要していた車両運用計画は数日程度まで縮まったという。2027年度の本格稼働を目指す。
熟練者の勘に頼ってきた「組み合わせ最適化」 #
鉄道の運用計画は、乗務員の休息時間規定や保有資格、車両の検査周期など無数の制約を同時に満たす必要がある「組み合わせ最適化問題」で、これまでは熟練担当者の経験と手作業に大きく依存してきた。ダイヤ改正のたびに数カ月がかりで組み直す体制は、担当者の異動や退職でノウハウが途切れるリスクも抱えていた。
冷却不要の疑似量子技術 #
CMOSアニーリングは、磁性体の相互作用を表す「イジングモデル」を通常の半導体(CMOS)チップ上で模擬する技術。超伝導方式の量子アニーリング機のような極低温の冷却装置が不要で、室温のまま高速に組み合わせ最適化を解ける点が実用上の強みだ。
自動化がもたらす新たな論点 #
効率化の裏で、計画立案がシステム任せになるほど、入力データの誤りや障害発生時に代替手段を用意できる人材・体制をどう維持するかが問われる。重要インフラの意思決定を最適化アルゴリズムに委ねる動きは鉄道に限らず広がっており、可用性とブラックボックス化のバランスをどう取るかは今後の共通課題になりそうだ。
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