独立系ジャーナリストのエド・ジトロン氏が、OpenAI の「監査済み財務諸表」を入手したと報じた。2026 年 6 月 8 日に SEC へ IPO 草案を提出した直後の流出で、市場が知るより遥かに深刻な赤字構造が明らかになった。
9.7 兆円の純損失と「収益の 4 倍」の研究開発費 #
文書によれば、2025 年の純損失は 603 億 5,000 万ドル(約 9 兆 7,000 億円) に達した。前年(50 億 9,000 万ドル)から 約 12 倍 に膨らんだ計算で、調整後でも 385 億ドルの赤字が残る。一時会計を除いた実損は 80 億ドル前後とされるが、それでも黒字化の目処は立っていない。
収益 130 億 7,000 万ドル(約 2 兆円)に対して、研究開発費だけで 191 億 8,000 万ドル(約 3 兆円)。売上を上回る R&D を毎年続ける ことが「フロンティアモデル開発」の現実コストだ。営業費用総額は 415 億 5,000 万ドル — 売上の 3 倍以上が燃えている。
ハッカー視点:依存する側のリスク #
注目すべきは、これが監査済みの数字である点だ。SEC 提出向けに精緻化された資料が外部に出たということは、IPO プロセスで投資家に提示される最終形に近い。OpenAI 側のコメントは「控えている」のみで、否定はしていない。
セキュリティ・開発の現場から見れば、これは抽象的な数字ではない。API 価格・SLA・モデル提供方針はいつでも変わり得る。Codex / GPT 系を CI に組み込んだサプライチェーン、AI ゲートウェイ越しに業務を回す企業、Anthropic 等の競合が同じく赤字で走るマーケット構造 — どれも 「単一ベンダ前提の設計はもはや BCP リスク」 という当然の話に戻ってくる。
ソフトバンクの孫正義氏が「大変な危機」と叫んだ AI 投資のスケールも、結局はこの赤字を埋める資本注入レースの裏返しだ。IPO で公開市場から吸い上げられる金額が次の R&D を支え、その先の収益化を市場が「信じ続けるか」が全ての前提となる。AI を業務基盤に据えるなら、ベンダの財務を読むのもセキュリティ業務 という時代に入った。
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