手術室からスマホ経由で流出 #
医療機器大手スミス・アンド・ネフュー日本法人の社員が、手術に立ち会った際、患者のX線画像が映るモニターをスマートフォンで無断撮影し、社内グループチャットに投稿していたことが分かった。朝日新聞の取材により、大阪公立大学医学部附属病院、神戸大学、金沢大学など9医療機関、患者16人分の画像が2025年9月から10月にかけて社内で共有されていたことが判明した。関係者は同様の投稿が「少なくとも5年前からあった」と証言しており、単発の不祥事ではなく常態化した情報管理の欠如がうかがえる。
「許可はあった」「知見共有目的」──食い違う説明 #
同社は撮影について「ほとんどの場合、執刀医から口頭で許可を得ていた」と説明するが、複数の病院側は「そのような事実は確認できていない」「担当医は許可した記憶がない」と真っ向から否定する。共有目的についても、会社側は「知見の共有」と主張する一方、同社関係者は「営業先の医師に機器を売り込むためだった」と証言。投稿には執刀医の実名や「使用頂きました」といった営業を思わせる文言が含まれていたという。
ベンダーという"内部関係者"のリスク #
この事件が示すのは、外部委託先という「職員ではないが院内にアクセスできる存在」が、既存のセキュリティ・ガバナンスの外側に置かれがちだという構造的な盲点だ。病院は自組織の職員による撮影・持ち出しには一定のルールを敷いていても、立ち会う業者の私物スマホまでは制御できていないことが多い。医療画像は要配慮個人情報であり、院内システムが暗号化・アクセス制御されていても、モニター撮影という「アナログな抜け道」の前では技術的対策は無力になる。取引業者へのアクセス権限の最小化、私物端末の持ち込み制限、契約時点での情報取扱いに関する明文化した合意が、同種の事案を防ぐ鍵になる。
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