「指定国」製の電力設備を排除 #
トランプ大統領は8月28日、国家安全保障上のリスクを理由に、米国の武器禁輸・制裁対象となっている「指定国」が設計・製造した電力設備やソフトウェア・デジタルサービスの使用を禁じる大統領令に署名した。対象は変圧器や送配電網の制御システムなど、電力インフラの中核部品に及ぶ。署名以降の新規調達は原則禁止となり、既に導入済みの設備についても継続使用や更新に条件が課される。電力会社が既存機器の交換・撤去を迫られる可能性がある。
引き金は中国系ハッカー集団の侵入 #
背景にあるのは、中国とつながりを持つとされるハッカー集団「ボルト・タイフーン」が米重要インフラに長期潜伏していたとされる事案だ。制御システムに組み込まれた遠隔保守用の通信機能は、平時は正規機能として振る舞う一方、有事には遠隔操作や停電誘発の足がかりになり得る。調達段階でリスク国製の部品を排除する発想は、ソフトウェアのサプライチェーン攻撃対策と同じ論理を物理インフラに適用したものだ。
ハードウェアに潜むバックドアはコードレビューでは検出できない。ファームウェア単位のサプライチェーン監査は今後、電力・水道など他の重要インフラにも広がる可能性がある。
日本の電力網にも波及しうる論点 #
日本の送配電網でも海外製の制御機器や通信モジュールは広く使われている。米国が調達段階での排除に踏み切ったことで、同様の圧力が同盟国にも波及する可能性がある。一方で代替調達には高いコストと時間がかかり、老朽設備の更新が遅れれば別のリスクを生む。安全保障と現実的な運用コストの綱引きは、今後も続きそうだ。
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