見るだけで陥落するメール、露系グループが悪用 #
ロシアの情報機関との関係が指摘される攻撃グループ「TA488」(別名Void Blizzard、Laundry Bear)が、メールサーバー「Zimbra」を狙う新手口で政府機関などに侵入していたことが、Proofpointの調査で明らかになった。2025年7月から少なくとも5カ月間、活動が継続していたという。
侵入の起点は、メールを開くだけで発動する「ハーフクリック」攻撃だ。悪意ある <svg onload=...> タグを非表示のdiv内に隠し、偽のCSS @import で分断してZimbraのHTMLサニタイザーをすり抜ける。サニタイザーが @import 部分だけを削除すると、残った断片が結合されて有効な悪性コードとして実行されてしまう。悪用されたのはCVE-2025-66376で、2025年10月以降はペイロードがXORループで難読化されるなど手口も進化している。
@import が削除され、断片が結合・復元される。盗まれるのはメールだけではない #
侵害後に実行されるJavaScriptマルウェア「ZimReaper」は、CSRFトークンやブラウザ保存パスワードを窃取するだけでなく、Zimbraの「アプリ専用パスワード」機能を悪用し「ZimbraWeb」という名前で永続的なアクセス経路を確立する。2要素認証コードやログイン情報はDNSクエリに乗せて外部送信され、過去90日分のメールがまとめて持ち出される。標的はウクライナ政府機関のほか、米国の政府機関・原子力施設・防衛産業基盤、先端科学分野の組織など多岐にわたる。
侵入前提の点検を #
Zimbra管理者は /opt/zimbra/log/audit.log で CreateAppSpecificPasswordRequest の呼び出しを確認し、「ZimbraWeb」など見覚えのないアプリ専用パスワードを即座に無効化すべきだ。
メールを「開いただけ」で侵害が完了する以上、添付やリンクを警戒する従来の訓練だけでは防ぎきれない。パッチ適用に加え、認証ログの継続的な監視が実質的な最終防衛線になる。
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