中古 PC 市場で「RTX 5090 搭載」と謳いながら、中身は型落ちの RTX 3070 だった — リユース業者「リバーズエコ」が X に投稿した持ち込み事例が反響を呼んでいる。素人を狙ったありがちな詐欺に見えるが、起こっている手口はそれなりに作り込まれており、ハッカー視点でも見抜き方を知っておいて損はない。
VBIOS と Device ID を書き換えれば「名前」は変えられる #
NVIDIA の GPU は Vendor ID / Device ID という識別子を PCIe バス上で公開しており、Windows のデバイスマネージャや GPU-Z はこれを読み取って製品名を表示する。Device ID は VBIOS (グラフィックカード上の Flash ROM に焼かれた小さな BIOS) に格納されているため、ROM を書き換えれば表示上の製品名は別物に化ける。これは元々マイニング向けや OC コミュニティで使われてきた手法で、nvflash などのツール一発で読み書きできる。
レジストリ側の HardwareInformation.AdapterString を直接書き換える、より雑なバージョンもある。こちらは GPU-Z や CPU-Z には嘘が映るが、再起動やドライバ更新で剥がれる。今回の事例で VRAM 表示が 8〜12GB と揺れた のは、まさにこの「上っ面だけ書き換え」型の特徴に近い。RTX 5090 の VRAM は 32GB GDDR7 なので、本物なら絶対に出ないサイズだ。
見抜き方 — 名前ではなく「実測」を見る #
ハッカー的に言えば、ID は 自己申告 にすぎないので信用しない。代わりに次を見る。
- VRAM 帯域 / コア数 / SM 数 —
nvidia-smi -qや 3DMark で実測。RTX 5090 と RTX 3070 では FP32 性能が 約 7 倍 違い、ベンチを 1 本回せば即バレる - 基板の物理確認 — 5090 はリファレンスで 575W TDP、3.5 スロット級の巨大基板。3070 のサイズ感とは比較にならない
- Subsystem ID — GPU-Z 表示。VBIOS 改変では揃わないことが多い
メモリ容量・帯域・消費電力は VBIOS で誤魔化せない物理量で、ここが「本物の指紋」になる。
教訓 — 中古高性能 GPU はベンチを 1 本 #
相場の半額で売られる個人出品の高性能 GPU は、まずこの偽装を疑うフェーズに入った。同じ手口は CPU やストレージにも使えるので、「動けば OK」ではなく 実測値が仕様と一致するか までを購入条件に組み込むのが、今の中古 PC 市場の自己防衛ラインだ。
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